当ブログ初の電子書籍紹介。
「こんな本を待っていた!」
そう思えたぐらい、資料としても読み物としても素晴らしい一冊です。
【概要】
JSL時代から日本サッカーの試合のみならず、
そこに足を運ぶファン・サポーターたちの“生態”を独自の観点から
研究・考察する、その手の界隈では重鎮である
+KeLサポーター研究所所長の石井和裕氏による、
サポーターと呼ばれる人種が誕生した瞬間から
現在のJリーグサポーターの観戦・応援スタイル、価値観が成立するまでを
膨大な資料と関係者の証言を丁寧にまとめ上げた一冊。
【感想】
“知ってそうで知らない”が溢れている
まず石井氏についてですが、
日本国内のサッカー文化を知る上では
宇都宮徹壱氏や後藤建生氏と並んで外せない、
と個人的に感じているほど、僕は大ファンです!
書籍のみならずWebコラムでも精力的に執筆活動を続けており、
どれも独自の観点から鋭く、スタジアムに通う人々を観察した考察が魅力的です。
石井氏のnote。
下記の記事以外にも素晴らしい考察が盛りだくさんです。
「紙媒体を実際に手に取って情報に触れる魅力を知ってほしい」
という思いから始めた当ブログでしたので
これまではあえて電子書籍の紹介を避けていましたが、
どうしてもこの一冊は紹介したい!
と強い衝動を抑えられず、解禁(笑)
で、肝心の内容なんですが、
・なんでサッカーの応援は太鼓を叩いたりするの?
・ひとつの試合の結果にどうして他スポーツ以上に熱狂しているの?
など、恐らくはかなりの多くのサポーターが当たり前に感じているものの、
いざ言葉で説明しようとすると難しい事象や心理の成り立ち
これらをとても丁寧にかつ、資料や証言に裏打ちされた確かな根拠をもとに理路整然と解説してくれています。
これさえあれば、サポーターについてのウンチクはばっちりかも!?というレベルですので、
文化史研究などに興味がある方は必携の一冊といっても過言ではないでしょう。
“自分は何者かでありたい”人にも
「過去より今の自分がどうかの方が大事だよ!」
という方もいらっしゃるかもしれません。
ですが本書は、そういった方にもおすすめ、というか
そういう方にこそ読んでもらいたい
そう強く思います。
Jリーグがチーム数拡大路線を推し進めている昨今、
全国各地にプロクラブや将来的にJリーグ入りを目指そうとするクラブが
急速度的に増えてきました。
そういった後発クラブはもちろんのこと、
タイトル獲得歴など明確な数字や実績で自己の立ち位置を確立できていない
中堅クラブもまた、
群雄割拠のリーグの中でアイデンティティを形成・確立させようと
独自のチャントを用いるなどで試みています。
ですが文化の未来とは、過去の歴史や経験からこそ作り上げられるものです。
そういった歴史の文脈を読み取らずに思いつきやその当時の流行だけを追っていては、10年・20年先まで生き残れるものは生み出せません。
(温故知新という言葉もありますしね)
そんな大事な過去の歴史がワンコインで簡単に手に入ってしまう
超お得なアイテムが本書なんです(笑)
ぜひぜひ。
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