概要
サンフレッチェ広島やロアッソ熊本の元監督であり、
日本代表のコーチやFIFAインストラクターなども歴任してきた小野剛氏(2017年現在、FC今治の育成コーチに就任)。
アトランタ五輪やフランスW杯での小野氏の実体験を元に
“チームを分析する”という観点からのサッカーの見方を
1冊の本としてまとめたもの。
続編に
『サッカープレーヤーズレポート』がある。
感想
「サッカーは11人対11人で行うスポーツ」
というのは誰でも当たり前に知っていることですが、
本書を読んだことで、
いかに自分がその前提を忘れて試合を観ていたのかということを思い知らされました。
それを特に強く感じたのは、
本書の中では“砂をまぶす”と表現されている、
『チーム内のウィークポイント(人数が少なく、攻め込まれると脆い箇所)をいかにして相手に気づかれないように
布陣、チーム戦術を組むか』
という戦術を決定する際の作業についてでした。
今までの僕の中では
ストロングポイントは素人なりに少しはわかっていたつもりでしたが、
ウィークポイントについては
「◯◯のトコロが穴だなー」
とか、そういった個人レベルでしか考えたことがありませんでした。
ですが、この本を読んで、
「ただその場所に突っ立っているだけのように見える選手にも意味がある」と知ってからは、
より楽しくサッカーが観られるようになりました。
プロが教える、もう1歩踏み込んだ、
『俯瞰視点からのサッカーの見方』
を知りたいという方に、オススメの1冊ではないでしょうか。
その他にも、小野氏自身が分析スタッフとして
相手チームに“潜入した”際の体験談など、
単純にドキュメンタリーとして楽しめる章もあるので、
「戦術とか興味はあるけれど堅苦しすぎるのはちょっと……」
という方にも、ぜひ。
アルトコ!
( ´-`).。oO(これ、アルトコ!じゃないなぁ。でもいっか。)
プロとしてのサッカーの見方を教示してくれる本書ですが、
ラストに小野氏は、
サッカーの見方、試合を観る眼を養うことと同等、あるいはそれ以上に
『その眼で得た情報をいつ、どのようにして使うか』
も大事である」
と、述べています。
氏の目撃談では、
スカウティングで得た情報ばかりを頼りにして、
目の前の選手の適正を考えず、自由に判断する機会を奪って
プレーさせてしまっている指導者が、
特に育成年代に多く見受けられるそうです。
個人的な話になってしまいますが、
先日、ユースの試合を観に行ってきました
(ユースとはいえ、久しぶりに勝ち試合を見れて、
とても嬉しかったです 笑)。
その試合で指揮をとっていた大塚監督ですが、
戦術的な指示以上に、
選手の判断で行った良いプレーへの賛辞が多かったような
気がします。
あれも今思えば、
選手自身が考える機会を奪わないようにするため
だったのかもしれません。
こういった育成の現場での取り組みがあるからには、
それを見守り、将来に期待する僕らファン、サポーターも、
『どういう意図でサッカーをしているかは理解しつつも、
過剰に外から指示するようなことだけはしない』
ことを、もっと考えていくべきなのかもしれません。
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