概要
2014年当時、
圧倒的な強さでJ2史上最速での
昇格を決めた湘南ベルマーレ。
そのチームを牽引したチョウ・キジェ監督が
『あるべきリーダー像、クラブ』
についての持論を書籍化したもの。
感想
“湘南スタイル”は戦術だけにとどまらない
僕は、
“湘南スタイル”という言葉は、
『ピッチ上の選手全員が全力で走りきって、
ハードワークで勝つ』
サッカースタイルのことを指すのだと思っていました。
しかし、これを読んでからは、
その言葉の対象は選手だけではなく、
フロントやクラブスタッフ、
そしてファン・サポーター全員を指していて、
その湘南ベルマーレに携わる全ての人々が
同じ方向を向いて、
『もっと多くの人を巻き込み、楽しませるクラブを目指す』
その全体の姿勢を指す言葉なんだと、理解しました。
そして、
その言葉を初めに掲げたチョウ・キジェ監督が、
自身とクラブについて自分の言葉で書いたのが
この本なわけですが・・・
愛されない“ワケがない”指揮官
とにかく、
湘南ベルマーレっていうクラブの事を、
本当に想ってくれているんだなぁ。
というのが、読んでいて伝わります。
本書の中で、
チョウ監督はクラブを電車に例え、
「真っすぐに、力強く加速させていく」ために、
試合後に選手がブーイングをされたら、
批判の矛先を自身に向け、
選手を守る盾となったり、
時には現場の指揮だけにとどまらず、
フロントや、駅前でビラ配りをしているスタッフにまで
声かけや協力をしたりと、
クラブに携わる色んな人たちの目線を、
同じ方向に向けるために尽力してきたエピソードの数々が、
本書には収められています。
そんなクラブ愛の強い監督ですが、
決して選手を甘やかしたり、
馴れ合いの関係を作ることはなく、
毎週の練習スケジュールやミーティングが
マンネリ化しないように気配りをしたり、
『選手が自身で目標を定め、成長する』
そんな自立心を持てるよう、
あえて手を差し伸べない時もあったりしたそうです。
そして、それらを実現するためには、
「まず自身の思想、哲学にブレがあってはならない。」
そんな、確固たる信念が、
文中からひしひしと感じられます。
外から見ていても
「チョウ監督って人望あるんだろうなぁ」
とは思っていましたが、
これは“愛されない”ワケがありません 笑
勝ち点100超えでのブッチギリ優勝。
それだけの偉業を成し遂げた直後に執筆された本なのに、
その成績を鼻にかけるような嫌味ったらしいところはない。
そんな文体も相まって、
とても気持ちよく読める本です。
アルトコ!
ウチも“巻き込んで”いきましょうよ、と
残念ながら、
今のアルディージャがチームとフロント、
そして僕らファン・サポーターまでもが
湘南のように一枚岩になれているか。
そう訊かれると、
ノーと言わざるをえないかもしれません。
「チョウ監督みたいな人が
アルディージャに来てくれさえすればあるいは・・・」
と、思ったことのある方は
結構いるかもしれません。
実際のところ、
僕自身も何度かあります。
ですが最近、
そういう“救世主待ち”的な考え方は
僕はもうやめようかな、と。
というか、
カリスマ的な魅力を持つ人がいなくても、
身近な誰かにアルディージャの話をする
その人たちを試合に誘う
良いと思ったプレーには拍手をする
悔しい結果になっても、励ましてあげたいと思ったら
選手たちに思いっきり声援を送る
そんな、今までも何気なしにやってきたことを、
もうちょっと頑張ってやってみる。
それだけでも、
もっと多くの人を
アルディージャに“巻き込んで”いける
んじゃないかなぁ、と。
チームが沈んでいる今だからこそ、
僕らファン・サポーターの側から
起こしていける動きって、
あるのではないでしょうか。
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