異色の切り口ながらも、
その理論の数々に引き込まれます。
概要
世界でも珍しい『セットプレー専門コーチ』として、
ACミランをはじめ各地のクラブで活躍してきた著者、ジョバンニ・ビオ。
ACミランをはじめ各地のクラブで活躍してきた著者、ジョバンニ・ビオ。
彼をして『現代サッカー最後の黄金郷』と語るセットプレー。
その極意と、未だに研究・開発の余地がある部分を綴った1冊。
その極意と、未だに研究・開発の余地がある部分を綴った1冊。
感想
『もう一つの試合』という新しい見方を植えつけてくれる
まず、著者であるビオ氏はセットプレーというものを
「適用されるルールも違う(コーナーキックはオフサイドが適用されない など)し、各選手のポジションや役割も通常とは大きく変わってくる(最後尾を守っていたセンターバックが最前線でスコアラーに転じる など)。
それを考えれば、セットプレーは、試合の中のもう一つの試合である。」
それを考えれば、セットプレーは、試合の中のもう一つの試合である。」
という斬新な解釈をしており、そこでまず興味を惹かれます。
そしてそこから、
コーナーキックやフリーキック、果てはロングスローやゴールキックに至るまで、
“試合を一旦止めて行うプレー全般”に対してビオ氏独自の方法論が提唱されています。
コーナーキックやフリーキック、果てはロングスローやゴールキックに至るまで、
“試合を一旦止めて行うプレー全般”に対してビオ氏独自の方法論が提唱されています。
セットプレーの得点可能性についてややネガティブに触れていた
『サッカーデータ革命』を読んで以来、
やや軽んじて見ていた僕としては、
本書内で繰り出される理論の数々は、
「言われて見てれば確かに!」と思わせられることばかりで、
やや軽んじて見ていた僕としては、
本書内で繰り出される理論の数々は、
「言われて見てれば確かに!」と思わせられることばかりで、
これだけ研究・実践している人がいないから
ネガティブなデータしか出ないのでは?
というところまで考え方を改めさせられます。
『セットプレーの現状』も書くことで、押し付けがましくない1冊に
現在のサッカー界の価値観から言えば斬新な理論の数々を提唱している本書ですが、
あまりに斬新な理論所はときとして、上から目線で物事を語った、
いわば“押し付けがましい”本になってしまい、楽しく読めないことがあります。
あまりに斬新な理論所はときとして、上から目線で物事を語った、
いわば“押し付けがましい”本になってしまい、楽しく読めないことがあります。
しかしビオ氏はリアリストでもあり、
総得点におけるセットプレーの割合が決して高くないことや、
トレーニングメニューを仕切る監督としてセットプレーよりも優先したい練習やあることなど、
まだまだセットプレーの可能性を追い求めるには難しい現場事情も併せて書くことで、
総得点におけるセットプレーの割合が決して高くないことや、
トレーニングメニューを仕切る監督としてセットプレーよりも優先したい練習やあることなど、
まだまだセットプレーの可能性を追い求めるには難しい現場事情も併せて書くことで、
本書内の理論には、
今はまだ机上の空論でしかないものもある
と明らかにしており、本書の立ち位置・性格を誠実なものとしている点に、好感が持てます。
現実感の湧かない理論もあれど、
きっと多くの部分は共感・感嘆させられるものだと思います。
これを読めば、
今まで何気なしに見ていたスローインがよりスリリングなものに見えますし、
コーナーキックを与えてしまっても、勘所さえおさえてしまえば安心して見られるようになります。
特に、今季はセットプレーからの失点が多いアルディージャサポ、
必携の一冊です。
必携の一冊です。
こちらもあわせて読みたい
・ゴールキーパー専門講座
ゴールキーパー目線で見るセットプレーとはどんなものか?そしてどんな思惑・意図でどんな対策をしているのか?
本書で紹介された理論に、プレーヤー側のリアルな感覚を肉付けしてくれるので、併せて読んでおきたい1冊です。
本書で紹介された理論に、プレーヤー側のリアルな感覚を肉付けしてくれるので、併せて読んでおきたい1冊です。